2012年4月18日 13:27
集団的自衛権の行使を認めることは、日本の安全にとって、そして、日米同盟を安定した基盤に置くために必要不可欠であるだけでなく、それは戦後レジームからの脱却の完成を意味する。
戦後レジームといっても、戦後米占領軍が行った改革のほとんどは、日本自身が必要とし、自ら改革したものである。
占領軍による弱体化政策
明治憲法は、当時の世界のすべての憲法と同じように、英国の権利宣言の流れをくみ、国民の権利を保障するものであった。それは明治維新以来の自由民権運動が多年の辛苦の上、勝ち取ったものであった。現に、予算の増額には衆議院の承認を要するという規定は、明治憲法のモデルと言われるプロシア憲法にもない進歩的な規定である。その結果野党の意向を尊重せざるを得ず、ドイツでは第1次大戦後まで成立しなかった政党内閣が、憲法制定後間もなく大隈、板垣内閣として成立している。
ただ、もともと「法律の定めるところにより」とあり、日本が、日英同盟から離れて孤立化し、隣国ロシアからは共産主義の脅威が迫り、中国では国権回復運動によって日本の既得権益が脅かされるに至って、非常時立法による制限が課されるようになった。
それは、戦争が終われば当然廃止されるものであり、言論、結社の自由の制限などは、米軍の到着前に、日本政府によって解除された。そして、婦人参政権、農地解放、労働組合活動などは、大正デモクラシー以来の流れの継続として、米占領軍の指令が来るまでに実施の方針は決まり、マッカーサーもそれに満足の意を表している。
日本が望まないのに、占領軍の指令で強行されたものの中で、公職追放と財閥解体は、もともと旧敵国日本の弱体化政策であり、占領中に次々に解除された。
憲法改正が今後の最大課題
残るのは、憲法と教育関係法だけであったが、教育3法については、戦後レジームからの脱却に努めた安倍内閣によって改正され、今はその内容の完全な実施だけが課題となっている。
憲法の改正は今後最大課題である。そもそも一国の憲法が外国語で書かれて手交されたテキストの翻訳ほとんどそのままという変則的な状態は改正する必要のあることは言うを俟たない。
ただ、その内容があまりに非常識であるためもあって、実質上の改正は行われざるを得ず、現に行われている。
憲法について最終解釈権を持つ最高裁判所は、憲法は主権国として持つ固有の自衛権を否定するものでない、と解釈している。「固有の」は憲法以前からある自然権の意味であり、それによって日本の国防も自衛隊も合憲とされている。実行上残っている唯一の障害は、日本は権利を有するがその行使は許されないという、支離滅裂な解釈がそのまま維持されている集団的自衛権の行使の問題だけである。これが戦後レジーム脱却の最後の仕上げである。
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